5.4. 酵素
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生物は複雑な「化学物質のスクエアダンス(2人ずつ4組で踊るダンス)」であり、そのダンサーである分子は、化学反応の過程で絶えずパートナーを変えている 生物における化学反応の総体
ほとんどすべての代謝反応は手助けを必要としている
ほとんどは、化学反応の速度を促進するタンパク質である酵素 enzymeの助けを必要としている 生物は数千種類の酵素を持っており、それぞれは異なる化学反応を促進する
活性化エネルギー
この過程では、その分子の周囲からエネルギーを吸収する必要がある
酵素は、反応物の結合を切るために必要な活性化エネルギーを下げることで代謝を進行させる 活性化エネルギーを化学反応が起こるための障壁として考えると、酵素の機能は、障壁を下げること
酵素は、反応物の分子と結合し、物理的あるいは化学的なひずみがかかった状態に導き、化学結合を切って反応を開始させる
誘導適合
この特異性は、酵素が反応物の分子を認識できる能力による
酵素が特異的な基質を認識し、結合する能力は、酵素の構造に依存する 基質が活性部位に入ると活性部位の構造がわずかに変化し、基質を受け入れて反応を触媒する この相互作用は、基質が活性部位に入ることで、酵素の構造がわずかに変わり、基質と活性部位との結合がさらに強固になることから融合適合 induced fitとよばれる 生成物が活性部位から離れると、酵素は新たな基質分子と結合することができる
この繰り返し働ける能力が、酵素の重要な特徴
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このスクラーゼのように、多くの酵素がその基質にちなんで名前がつけられており、語尾に-aseがつく
酵素阻害剤
酵素に結合してその機能を阻害し、代謝反応を抑制する分子
にせの基質(基質に似た分子)として酵素の活性部位を塞いでしまう
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一方、酵素の活性部位から離れた部位に結合する阻害剤もある
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この阻害剤はその部位に結合すると、基質と結合できないように酵素の構造を変えてしまう
酵素への結合が可逆的である場合には、阻害剤は代謝調節を行うことができる
代謝産物が必要以上に生成された場合、それが酵素を可逆的に阻害することがある
細胞は資源の無駄な消費を防ぎ、より有効な利用を可能にしている
多くの抗生物質は、病気を引き起こす細菌の酵素を阻害することで、効果を発揮する 薬だけでなく多くの生物毒素や毒薬は不可逆的な酵素阻害剤である 神経ガスは、神経の活動電位を伝達するために必要な酵素の活性部位に結合する この酵素が阻害されると、生命維持に必要な機能がただちに麻痺し、死に至る
多くの農薬は、昆虫に対し、酵素を不可逆的に阻害して、毒性を発揮する